その後の羅生門
※高校1年のときに芥川龍之介「羅生門」の続きを作ろう、という国語の授業がありました。以下の文章は私がそのときにフロッピーディスクに保存していたという文章です。
文才能力のなさが垣間見える、なんともこっぱずかしい文章。よんでなくても話は分かるのかな…?原稿用紙に確か3枚程度。

 下人は老婆の着物を奪い取ったものの、雨が更に激しく降ってきたので仕方なく羅生門の裏側に回り、段に腰を下ろした。
 ぼう、と暗闇を見ていると、誰かがこちらに向かって歩いてきているのに気がつく。下人は刀をぎゅっと握り締め、身構えた。
「こんな時間に、何のようだ」
 下人の質問に答えず、その人物が横を通る。下人はその人のか細い右手をつかんだ。その人物の正体は、女であった。いや、女と言うよりも娘と言ったほうが相応しい。雨に濡れて衣服は身体に張り付いているのか、体の線をくっきり現わしていた。長く乱れた髪のせいで顔はよく分からない。
「死にに来たのです。皆ここで死んだから、私も死にに来たのです」
 前髪を横にかきわけ、少女が顔を出す。青白く、今にも死にそうな顔をしていた。だが容姿端麗でこんな娘を見たのは初めてだった。控え目な声は下人の胸の内を熱くする。
「馬鹿なことを言うな。俺と一緒に来い。俺は地位も財産もないから盗人として生きていくが、お前も一緒に来い」
 思わず下人は二度も同じことを繰り返した。この女を死なせてはならないと、なぜだか下人は心に思った。しかし少女は右手を振りほどき、首を横に振ってここで死にたいと言った。下人はその少女につかみかかり、段の上に押し倒した。顔を背けて彼女がつぶやく。
「私は今まで、幾人もの人を殺してきたんです。もう汚れて生きたくありません」
 少女は下人の顔色を伺い、何かに謝るよう、また控え目に答えた。それだけ答えると少女は下人の胸元に両手を起き、突っぱねようと力を込めたが力の差がありすぎると判断して少女は観念して話した。
「ああ、ならばあなたが私を殺してください。私を殺して好きにしてください」
 生気を失った目を向ける少女を見て、男は女の肩を両手で捕まえて語った。
「俺につきあってから死んでも遅くはない。俺と一緒に生きるんだ。殺した人の分まで今から生きればいい」
 下人の目が気迫に満ちていて、少女は息をのんだ。この男は真剣だ。
 少女は青年の熱い思いに打たれてうつろな目に再び灯をともし、男の背中に手を回した。二人は雨の冷たさに負けないぐらい熱く抱擁し、冷えた体を重ねた。二人の身体を濡らしたのは汗だったのだろうか、それとも何だったのだろうか?
 羅生門は二人を包み込み、新しい明日を待ち続けていた。
 それ以来、二人を見たものはいない。