奈良県

今井町その1(橿原市)

「今井町」の存在を知ったのは司馬遼太郎の「街道をゆく」だった。ちょうど絵を描き始めたころで、それから何回スケッチに出かけただろうか。1993年に重要伝統的建造物群保存地区に選定され、その後、この町でもいわゆる町並み整備が進み、きれいになった。その分、生活臭が失われてきた。

     
   「蘇武湯」あたり(橿原市今井町)16.03.03      F6   
 
浪漫会の16年3月度スケッチ会が奈良・橿原の今井町で開かれた。近鉄・八木西口駅に集合、皆さんとわいわい言いながら町の入り口にかかる飛鳥川の蘇武橋を渡ったところで、メンバーの方が「ここが良い」とおっしゃる。まだ重厚な民家が並ぶ町内へ入る前だが、家並みの後ろからヌッと覗く銭湯の煙突がアクセントになっており、確かに面白いかなと思った。飛鳥川畔は最近、公園として整備されて、スケッチするには最高の環境なので、3、4人の方と並んで座った。今井町へはたいてい車で来ており、駐車場から町内中心部へ直接行くため、こうしたポイントは見逃していた。後で調べると、黄色のテントの手前が銭湯マニアの間で有名な「蘇武湯」だったが、まだ暖簾が出る時間帯ではなかった。

→は「蘇武湯」の男湯脱衣場。壁に、橿原神宮へ奉納相撲に来た力士の色紙が貼ってある。この湯に入ったかどうかは知らないが、貴花田、若花田の名前も見える。(今井町のカステラ店・六斉堂のHPから借用しました)
 
 
 
 
     
   河合酒造の裏通り@(橿原市今井町)16.03.03      F6  
  今井町での2枚目を描くため町の中に入っていった。この日のスケッチ会にはは20人近くが参加したので、あちらこちらで顔見知りの方が描いておられる。私自身は今井町へ来た回数が多いため、目新しく感じる場所が思い浮かばない。少し迷った結果、重文指定の河合酒造の裏手の路地を選んでみた。この場所は酒蔵の向かい側に生活感あふれる家々が並んでいる。昔は茅葺きだったと思われる三角形の屋根の家が混じるのは、本瓦葺きばかりの今井町では珍しい。  
 
 
     
   河合酒造の裏通りA(橿原市今井町)16.03.03     36×51p  
  今井町での3枚目を描くために町内を一周した。町の一番西にある今西家の前まで行ってみたが、やはりあまり食指が動かない。結局2枚目に選んだ河合酒造の裏手の路地へ戻り、反対向きに座った。右の建物が河合酒造である。夕方4時からは反省会ということで、以前行ったことがある大和八木駅前の居酒屋へ皆さんを案内した。居酒屋は普通5時開店だが、この店は珍しく4時開店。皆さんは遠方から来られているので、ありがたい。スケッチ会参加者の約半数が出席し、大いに盛り上がった。  
 
 
本町筋@(橿原市今井町)       2014.08.30      F6
8月度の悠彩会スケッチ会が橿原市の今井町で開かれた。スケッチを始めて以来、何回となく訪問している今井町だが、悠彩会の皆さんとは2回目、10年ぶりのこと。10人が参加したが「今井町は初めて」というメンバーもいたので、何人かとスケッチポイントを案内しながら町内を東から西へ歩いた。さて、私自身はどこを描こうかと思うと目新しい場所がない。町全体がきれいになったが、とくに本町筋という東西の道はいち早く電柱が取り払われて生活感が感じられないので、これまで1度も描いていないことを思い出した。とりあえず1枚目はその道筋を選んだ。同じ場所に4人がそろい、雑談しながら描くのがいつもと違って楽しいところである。

中町筋(橿原市今井町)   2014.08.30    F6
今井町での悠彩会スケッチ会の2枚目は、重要文化財の「音村家」と「旧米谷家」が並ぶ東西の通り、中町筋へ行った。ここも早めに電柱が取り払われた。電柱や電線がないと描いた絵の空の部分が何となく寂しい感じがする。何よりも日陰優先で土蔵の陰に椅子を置いた。しかしこの日はいつもより気温が低く、空気も乾いているので、日陰に入るととても気持ちが良く、快適なスケッチとなった。

西光寺付近から(橿原市今井町)   2014.08.30    F6
この日の昼食会は今井町の町外れにある「食道楽」という中華料理店で。以前にも入ったことがあるが、大盛りで有名。中ジョッキを頼めば大ジョッキサイズのビールが出てくる。昼食後には皆さんを誘って町内のお休み処「六斉堂」へも行った。時間はかなり遅くなったが、もうひと踏ん張りしようと、何人かの仲間が描いている場所へ行った。今井町は南北の通りには名前が付いていないため、表現が難しいが、西光寺というお寺の付近から南を眺めた。ここも何回か描いたことのある道だが、ここには電柱が残っており、絵のアクセントになる。

本町筋A(橿原市今井町)   2014.08.30    F6
スケッチ会幹事のIさんと反省会で軽くビールでのどを潤す約束をして、それを楽しみに居酒屋の開店時間までにもう1枚描くことにした。午前中に描いた本町筋に戻り、午前中とは反対に東から西を向いて描いた。ここには郵便局や薬局、古美術商などがあり、それらの看板が町並みに彩りを添えている。この日のスケッチ会では結局4枚描いたが、出来上がった絵を並べてみたら、スケッチ場所は違うのに4枚とも同じような構図であった。反省。その後の反省会では「軽くアルコールを」のつもりが「かなり」の量になった。また反省。

南尊坊通(橿原市今井町)      2012.09.23        F6
日を置かず今井町へ行ったのは、お休み処「六斉堂」を訪問し、中国から来られた日本語研究者と交流するのが主目的だった。約束の時間に六斉堂のある南尊坊通へ行ったが、ちょっと時間があったので店の前でスケッチブックを広げた。先日この町に埼玉県から来られたhinoさんが描かれたのと同じアングルで描いてみた。今井町では珍しく生活感が漂う空間である。

「河合酒造」あたり(橿原市今井町)       2012.09.04        36×51p
埼玉県にお住まいでネット上の付き合いがあるhinoさんが奈良に来られることになり、今井町でご一緒した。hinoさんは今井町は初めてとのことなので、町内を一周しながら、スケッチポイントへ案内することにし、まず町の東の方にある河合酒造あたりへ行った。私自身、スケッチを始めてすぐ今井町で最初にこの建物に挑戦、何回描いてもうまくいかず音を上げた思い出がある。久しぶりにこの建物に対面した。
私の前でスケッチされるhinoさん。町内の道は車が案外よく通るが、この日は後方で道路工事をしており、通行止め。助かった。

「中橋家」あたりA(橿原市今井町)   2012.09.04        36×51p
hinoさんとご一緒した今井町での2枚目は、「称念寺」前の御堂筋で描いた。好みが違うため、少し離れて座ったが、私は「飲み物の自販機」を、hinoさんは「かき氷の旗」を、それぞれ絵のアクセントに選んだ。その点では好みは共通ともいえる。私が座った場所は左側に「称念寺」の屋根が見え、右手前に重文の「中橋家住宅」がある。09年夏にもほぼ同じアングルで描いている。

トタン板壁の路地(橿原市今井町)      2012.09.04        F6 
午前中に2枚描いたので町外れの中華料理店まで足を延ばして、昼食にはhinoさんとビールで乾杯。そのために、車ではなく電車でこの町へ来た。さて午後の部。南北の道の西側には日影ができている。hinoさんとは後で連絡を取り合うことにして、以前から一度描いてみたいと思っていたトタン板壁のある路地へ行った。着飾った今井町らしくない普段着姿の路地である。ちょうど町の中心あたりにあるが、南北の道には名前が付いていないようなので、絵のタイトルを付けるのに苦労する。

「上田家」あたり(橿原市今井町)      2012.09.04        F6
トタン板壁の家のある南北の道を北へ行った突き当りでもう1枚。右手のブロック塀のあるお宅が「上田家」という。町内に8軒ある重要文化財の住宅のうちの1軒だが、これまでスケッチしたことがなかった。

天皇の馬車道(橿原市今井町)      2012.09.04        F6
今井町内の道は狭くて真っ直ぐなものばかりだが、町の東の方にあるこの場所だけ、道幅が広く、しかも緩やかなカーブになっている。明治10年2月、明治天皇の大和行幸の際、この町の中心となっている「称念寺」が行在所(あんざいしょ)となった。しかし道が狭く天皇の馬車が角を曲がれないため、この場所の道幅を広げ、交差点の角を削ったとされる。カーブに沿って右に曲がれば、称念寺の前を通る御堂筋となる。hinoさんとご一緒した今井町スケッチはこれで切り上げ、何しろ暑い一日だったので、大和八木駅前でお疲れさん会をやることにした。まだ午後4時だったが、ラッキーなことに4時オープンという居酒屋があった。大いに盛り上がり、つい飲みすぎた。

「山尾家」あたり(橿原市今井町)11.08.04     36×51cm    
今井町ならどんな時間帯でも日影でスケッチできると思い、久しぶりに行ってみた。町の一番北側にある東西の通りを「北尊坊通り」と呼ぶが、この通りに面して「山尾家」という重厚なお宅があり、1枚目にそれを描いた。山尾家は町内に3軒ある奈良県指定文化財のうちの1軒で、昔「新堂屋」の屋号で両替商を営んでいたという。家の前面の木の柵を表現するため、7Bの鉛筆を使ってみた。

「称念寺」あたり(橿原市今井町)11.08.04     F6
何回も出かけている今井町なので、まだ描いたことがないポイントを描きたいと思った。このポイントは路地の向こうに「称念寺」が見え、今井町の紹介によく使われる場所だが、まだ描いたことがなかった。称念寺はいわばこの町の核で、本堂は国の重要文化財に指定されているものの、傷みがひどく、修復が課題になっているという。寺の手前の左側に見えるのが、これも重文指定の中橋家住宅である。

「西光寺」あたり(橿原市今井町)11.08.04     36×51cm
この町のお休み処「六斉堂」で一息入れたあと、午後の日影を求めて南北の通りへ。町の東の方、西光寺という寺の西側の通りに座った。今井町のマップには東西の通りの名前は載っているが、南北の通りには名前が載っていないので、何という通りかは知らないが、過去にも何回か描いている。



















「米谷家」あたり(橿原市今井町)
11.08.04
     F6




重要文化財の「音村家」と「旧米谷家」が並ぶ東西の通りを中町筋と呼ぶらしい。旧米谷家(右側の家)は公開施設になっており、中町筋もいち早く電柱を撤去したので、いかにも”町並み保存地区”といった感じがして、生活感はない。しかし、建物そのものは立派なので、中町筋と交差する細い路地からイラスト風に描いてみた。




「今西家」あたりA(橿原市今井町)10.02.24    36×51cm
09年に産経新聞に連載された安野光雅画伯の奈良スケッチシリーズ50点の中に「今井町」の絵が1枚あった。まだ描いたことのないアングルだし、せめて大先生と同じ所で描いてみようという気持ちになった。実際に現場へ行ってみると、私が描きたいのは家並みなのに、立ち木や無粋な塀が邪魔になり、自分では決して選ぶことができない構図だと思った。いうまでもないことだが、結果は安野画伯の絵とは似ても似つかぬものになった。

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