滋賀県

沖島(近江八幡市)

沖島(おきしま)は近江八幡市沖の琵琶湖に浮かんでいる。湖にある島で人が住むのは日本でただひとつ。昔は人口800人を数えたが、最近は450人程度に減ったそうだ。以前一度、ヨットに乗せてもらってこの島へ渡ったことがあるが、05年に渡船が2時間間隔で便利になったとの話を聞き、絵仲間のSさん(故人)、Mさんと3人で出かけた。スケッチしているうちに瀬戸内海かどこかの島で過ごしているような気分になった。また、14年9月にも再び訪問した。

沖島の俯瞰(近江八幡市沖島町)   2014.09.30       36×51p
「亭主の好きな赤烏帽子」ということわざがあるが、その赤烏帽子が町並み俯瞰スケッチという場合には家族はもっと迷惑なことだろう。この日はFさんを誘って琵琶湖に浮かぶ沖島へ行った。「スケッチでもしないとすることがないよ」と言ったので、Fさんも小さなスケッチブックを持って行ったようだった。島へ着くとさっそく連絡船から見えた高台の墓地へ上った。思った通り島の集落が俯瞰できる。身の回りの小物や花などのスケッチでは非凡な才を発揮するFさんだが、町並み俯瞰スケッチはあまり好みではなさそうだ。それでも仕方なしにか、後方の木陰でスケッチブックを広げていた。

沖島の路地(近江八幡市沖島町)   2014.09.30       F6
沖島の西端近く、二つの山がくびれたところに人家が密集し、極めて細い路地で南北二つの浜をつなぐ構造になっている。漁村でよく見られる光景で、細い路地は道路であり、生活空間でもある。そんな路地の一つを覗き込む形でスケッチを始めた。やがて目の前の黄色い洗濯機を使って洗濯が始まり、その奥さんと時々目が合う。ちょっと申し訳ない気分になり、早々に別の場所へ移動した。





沖島の”名画ポイント”(近江八幡市沖島町)   2014.09.30       F6 
3枚目は島の南側の防波堤近くで描いた。この近所に住んでおられる人がやってきて「ここで描いた絵は展覧会で入賞します。あちこちの病院へ行くとこの場所を描いた大きな絵が飾ってありますよ」とおっしゃる。そういえば複数の知人がこの場所の80号だか100号だかの大きな絵を公募展へ出されていた。病院でよく見かけるというのは、展覧会での入賞作が寄贈された結果であろう。その人は「この場所の絵が評価されるのは、水平線が見えるため」と言われる。私は椅子に座って描いていたため、実は水平線は見えていなかったのだが、この話に「なるほど」と納得、立ち上がって水平線を描き入れた。手前の三輪自転車は自動車がないこの島の主要交通手段である。

沖島港(近江八幡市沖島町)   2014.09.30       F6
沖島からの帰りの船便は午後2時の後は4時である。この日はJR守山駅ビルで開かれている個展を訪問することにしていたので、4時の便では遅すぎる。もう少し描きたい気分だったが、2時の便に乗るべく港へ行った。ただ少し時間があったので、出航までに沖島港を描くことにした。以前、沖島へ行った時にもほぼ同じ場所から描いている(↓の絵)。出航時間が近づいたので、とくに手前の船を省略して描いたが、それがかえって良かったかもしれない。

沖島@(近江八幡市)05.09.09       36×51cm
島の集落は庭か道か分からないような狭い路地を挟んで人家がひしめいている。いかにも漁村らしい佇まいである。「1枚目はまず定番の風景を」と、とりあえず港へ出て、3人がほぼ同じ場所から描いた。3人3様の絵が出来上がった。

沖島A(近江八幡市)05.09.09        36×51cm
ポイントを探しながら防波堤に沿った道を村外れまで歩き、2枚目を描いた。スケッチの終わりころ、空一面に雁行している鳥に気付いた。もう秋なので早くも北の国から琵琶湖名物のカモがやってきたのか、好物・鴨鍋のシーズンも近いとうれしくなって、絵に描き込んだ。あとで島の人に聞くと「あれはカワウだ」という。そういえば鮎の稚魚を食う、糞害を撒き散らすといったカワウの被害を聞いたことがある。ちょっとがっかりである。

この日も暑かった。ようやく日陰を見つけてホッとした。Mさんが私のスケッチ姿を撮ってくれていた。(背筋が曲がっていますね)







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