夜中の屋上

君と僕の二人きり

二人で星を眺めている

星が流れだした頃、僕は君にキスをした

君は恥ずかしそうに笑ったね

手と手は固く繋がれ、僕らの絆もより一層深まった。

 

僕が眠りから覚めたとき、君は星になっていた。

 

 

 

 

君に願いを

 

 

修学旅行のバスの転落事故。

生き残ったのは僕と鈴の二人だけ。

あれから一年が経った。

 

僕と鈴は別々の大学へ通い出した。鈴は笹瀬川さんと同じ大学に通っている。

あの頃ようによく喧嘩はしてるけど、仲良くしているらしい。

僕はバイトをしながら大学に通っている。

一人暮らしは寂しいけど自分の時間があるというのはいいものだ。

サークルに入ろうとも思ったけど、どれも僕には合わなそうなので諦めた。

でもその代わりに趣味ができた。

僕は今、詩を書いている。

別になんかの賞に出すわけでもなく、ただひたすら詩を書いている。

アルバムの中にある皆との写真。

その一枚一枚に詩を付ける。

 

そして写真は詩と一緒に燃やす。

 

皆がこの世を去ってから毎日泣いていた。

皆との写真を見る度に涙が堪え切れなくなっていた。

だから僕は写真を、自分の弱さを焼くことにした。

皆を忘れるわけじゃない。

僕が皆を卒業しなきゃいけないんだ。

 

 

今まで十数枚の写真に詩をつけ燃やしてきた。

残った写真はあと一枚。

ホットケーキパティーで無理やり撮らされた小毬さんとのツーショット。

小毬さんはエプロン姿でピースしている。

この頃だっただろうか、小毬さんと付き合いだしたのは……。

 

最後の写真。 これを残してたわけじゃない。

最後まで焼けなかったんだ。

その写真だけはいつも持ち歩いていた。

いつも僕に力をくれた。 小毬さんと一緒に居られる。

心にそう思えるだけで不思議と頑張れた。

 

でもそれも今日でお終いにする。

昨日、大学の子に告白された。

大学の授業でもよく一緒になる子で、時々遊んだりもする。

僕は告白された時、事故の事、皆の事、小毬さんの事、全てを話した。

でも彼女は受け入れてくれた。一緒に泣いてくれた。

僕自信も彼女に惹かれていたんだ。

ヒドイよね、僕って。 ごめんね。

でもね、今度は自分の道を歩いてみたいんだ。

新しい想い出を作っていきたいんだ。

君との想い出を胸の奥にしまって。

 

小毬さん、ありがとう。

これが君に送る、最後の言葉だよ。

 

 

 

君に願いを

 

色褪せていたあの日の夢も、埃まみれだった未来図も
君がいつもそこで見ててくれてたから
叶わないと弱音吐(ぼや)いてた日々も、遠回りしてただけの道も
乗り越え僕は今こうしてココに在(い)るんだ。

僕は何してあげれたのだろう? 何してあげれなかったのだろう?
あれからずっと自分に問いかけてみたけど、
何度心の扉たたいても胸の奥ひきだし開けてみても
出てくるのは楽しかった思い出ばかりで‥

ただ僕はずっと愛してた。
それだけ、ただそれだけだったけど僕にはそれしかなかったんだ。
そして今も変わらず愛してる。

いつか星のキレイな夜空に2人並んでお願いしたよね
あの時のお願いはもう忘れちゃったけれど、
この瞬間(とき)がずっと続けばいいと想った事だけは覚えてるよ。
今思えばそれもお願いすれば良かったね。

でも、神様なんていない。
君が星になった時そう誓ったんだ。
僕には神様なんて要らない。そこに君が、君さえ居てくれれば。

君のいないこの街は今日も相変わらずバタバタせわしなく、
まるで何事もなかったかの様に暮れてく。
早足に過ぎてゆく年月と、そっと移りゆく季節の中で、
ふと夜空を見上げる度あの日を想うよ。

そして僕はそっと願うんだ。星になった君に願いを。
「もう大丈夫、一人で立てるから」と。だって僕は独りじゃないからね。

そうさ僕は君の分も生きてく。
君も僕の中でずっと生きてくんだ。
だからまたあの頃の様にずっと側で見てておくれ。

When I wish upon you, 君に願いを。

 

 

流れていた涙はやっと止まった。

どれだけ泣いたのかは覚えていない。

気が付けば夜になっていた。

僕は窓を開ける。

 

夜空を見上げると曇っていて星は見えない。

 

見えない星に向かって僕は言う。

 

「さよなら、小毬さん」

 

雲の間からは微かに光が漏れている。

 

「ふぁいとだよ、理樹君」

 

僕はそう聞えた気がした。

 

END

 

 

 


 

 

 

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