マッチボックス・タウン






「クルマは並べるだけ」のモデリングは「邪道」でしょうか…


もう3年以上も前のことになりますが、「トミカのまち」を雑誌のコンテストに応募した時のことです。冒頭の寸評に、『クルマではなく建物の方ばかりに力が入った作品もありましたが、やはり情景として完成度が高く、尚且クルマの方にもしっかりと力を入れたものが目を引く結果となりました。』という表現がありました。どうやら『クルマではなく建物の方ばかりに力が入った』というのは私のことかな、と思ったものです。(単なる私のヒガミだったらごめんなさい。)

しかし、考えても見てください。私のテーマは「トミカのまち」でした。そして私は「ダイキャストミニカー」としてトミカを集めていますから、虎の子のミニカーを全部「力を入れて」カスタムやディテールアップしてしまうわけには行きません。ということは、作るのは「街の情景」そのもの、つまり「建物」や道路や、電柱や、マンホールのフタ、ということになるのは、当然と言えば当然の結果なのです。

もし「クルマの方にもしっかりと力を入れる」ことが前提になってしまうなら、1/43や1/64以下の「ミニカー」を使って「クルマのある情景を作る」という作品の芽は、はじめから摘まれてしまうことになるでしょう。つまり「カーモデル」=1/24・1/32のキット形式のもの、という枠組みがはめられてしまうことになるのですね。これは大変に残念なことだと私は思います。趣味の世界に、あらかじめ決められた発想の「枠組み」なんて必要ない、と私は考えているからです。

鉄道模型では、「セクション・レイアウト」と言いまして、「運転」はできないほどの小スペースに再現された情景模型が作られます。場合によっては「物置小屋」だけの模型で、車輌の姿はありません。つまり駅舎、資材小屋であっても、例え車輌がなくても、それは「模型鉄道」(モデル・レイルロード)の一部なのだ、という考え方をするのですね。それにその小さな模型は、将来大きなレイアウトの一部に組み込まれる可能性だってあるのです。
残念ながらまだ日本では、クルマの模型の分野はそこまで成熟していないということなのでしょう。

これまで日本の鉄道模型は、「車輌偏重」だといわれ続けて来ました。もともとは輸出向けだった、全真鍮製の、何十万円もするような蒸気機関車の「ブラス・モデル」(無塗装真鍮の金ピカの模型)を珍重し、走らせることすらしない、といった時代があったのです。これに対して欧米の車輌はプラスチック製、運転本位で親から子に受け継がれるようなレイアウトを家庭に作って家族で楽しんで来ました。

しかし日本でも「N」ゲージが登場・普及するにつれて、鉄道模型も「高価な車輌」から、「運転」や「レイアウト」に軸足が移り、「情景」が楽しまれるようになりました。1/150のバス、ミニカー、食玩系の半完成のノスタルジックな建物キットシリーズなどは、この流れにあるのです。情景づくりの素材が徐々にではあれ揃って来ているのであれば、「クルマ」のモデルに力を注いでも、注がなくても、みんなが「思い出の情景」や「夢の情景」を気軽に楽しめばいいんだと思います。

40年近くも前に「ジャパン・ミニチュア・コレクター・クラブ」の『コレクター』誌で展開されていた、『コレクターか、モデラーか』という議論を、またまた思い出します。世の中、「集めるのが好きな人」も、「作るのが好きな人」も、「ちょっとだけカスタムするのが好きな人」もいて、誰がエラいわけでもないのですから…。 (2005.12/10)



"Matchbox Town" in 1/64 scale, made by paper and plastic sheet

I know that model railroaders in the United States had created and enjoyed "S gauge" in 1/64 scale, and it is the origin of 1/64 diecast cars, Hot Wheel and Jhonny Lightning for example. I tried to look for some buildings, accessories, and figures of citizens on eBay, but I was not able to find them excluding some model train and railway tracks on it.

Then, I have remembered that Dover Publications, Inc.,New York has issued a lot of paper kits of American buildings in old age in HO scale, which was called "Cut and Assemble" series. I have tried to make some buildings by expanding HO pages in "Cut and Assemble" book to 1/64 scale with the colour copier. Walls of buildings have been reinforced with some plastic sheets.

The Matchbox Town suits the old cars with regular wheels in Lesney years very well. The sign boards of the Coca-Cola tells that the age is 1950's. And the town became lively by the citizens attached to some cars of "Days Gone" models made by the Lledo company.
Is there the town in the United States or United Kingdom?? Both of them are correct and incorrect. The town is in "United Nations of Matchox" without any borders.

The town would like to show respect in the Lesney Products and John W Odell, always referred to as Jack... He was the specialist at diecast and machine tools in early Lesney and he gave the brand of Lledo that his name spelled backward when he found his own firm.

構想の発端は、スーパーファストの「タクシー」


今年売られたマテル・マッチボックスの中に、チェッカー・マラソンのタクシー・キャブがありました。通常の1-75シリーズ中のもの(No.33 Checker Cab)、スーパーファスト30周年記念のグリーン/白のもの(アメリカ市場向け)と、黄色のモデル(欧州ほかインターナショナル市場向け)。これが、チェッカーマラソンのもともとクラシックな雰囲気を再現していて、とても気に入っています。
このタクシーが列を作っている、街頭の一場面を作りたい、と思ったのが構想の発端でした。
「S」ゲージ製品を探すものの、見つからず


「トミカのまち」の時には、国産の「駄菓子屋」「佃煮屋」のキットがほぼ1/60だったのですが、
1/60〜1/64サイズの欧米風建物キットなど、国産品では望むべくもありません。

「トミカのまち」のページで、以前アメリカに「1/64・Sゲージ」というスケールがあり、1/64ミニカーはここから来ている、ということを少し書きました。
それなら、アメリカのネットオークションを見れば、「Sゲージ」の建物キットやら、人形、ドラム缶などのアクセサリーがあるのではないか?? と思い至ったのですね。

ところが残念。確かに車輌や線路などは若干ありますが、既にアメリカでも本流をはずれたゲージなのでしょう。目立ったアクセサリーやストラクチュア(建物類)などは見つかりませんでした。
(しかしその代わり、Oスケール(つまり1/48〜1/43)の商店やガソリンスタンドのキットを落札してしまいました。これはまた今度、作ることにしています。)
建物の基本は「ペーパーキット」
ニューヨークに「Dover Publications.Inc.,」という出版社があり、デザイン/手工芸/ペーパークラフト関連などの書籍を数多く出版しています。
このうち、「Cut and Assemble」というシリーズとして、HOスケールの建物のペーパークラフト本が出ているのですね。
今回はこの中の「Main Street」(9 Easy-to-Make Full-Color Buildings in H-O Scale by A.G.Smith,1983)を利用しました。「H-O Scale」というように、「H」と「O」の間にハイフンの入った表記が、もともとは「Half-O」(Oスケールの半分)という意味だったことを思い出させます。

新刊で買って、作らずに持っていたのですが、何と20年以上経ってしまいました。何ということでしょうか。今回はスケールの関係でオリジナルは切り抜かず、カラーコピーで1/64スケールに拡大して使用しています。



「Dover Publications」のサイト上で、同社出版物がご覧になれます。

http://store.yahoo.com/doverpublications/by-subject-children-cut---assemble.html

このシリーズで、現在入手可能なものは以下となっています。(以下のリストでは、HOスケールであることが明記されているものに限定してあります。)
このうちの多くが、「アマゾン」の日本語サイトで注文可能です。日本語のアマゾンと、ニューヨーク・ドーヴァーのサイトでは、当然ながら在庫状況が微妙に異なっていました。
ぜひ特定のものを、というのでない限りは、日本のアマゾンで購入される方が簡単と思います。アマゾンのサイトで、「洋書」→「Cut and Assemble」で検索をかけてみてください。

価格は9.55ドル、アマゾンで1500円ぐらいですが、商品によっては建物単品だけ、というものもあり、それらはもう少し安くなっています。
これらの商品の表紙では、樹木や人形などを配置した立派なディオラマ写真になっていますが、商品はあくまで「本」で、人形や樹木・ミニカーなどは付属しませんので念のため。
それと、どうしたものか今回の「マッチボックス・タウン」に使用した「Main Street」が版元絶版になっているようです。

たまには童心に返って「紙の街」を作り、お気に入りの小スケール・ミニカーを並べてみてはいかがでしょう。(ミニカー・コレクターは毎日「童心」かもしれませんが…。)

Cut & Assemble an Early American Seaport
Cut & Assemble Western Frontier Town
Cut & Assemble Victorian Houses
Cut & Assemble an Early American Seaport
Cut & Assemble a Victorian Gothic House
Cut & Assemble Southern Plantation
Cut & Assemble House of the Seven Gables
Cut & Assemble Paul Revere House
Cut & Assemble Early New England Village
Cut & Assemble Frank Lloyd Wright's Robie House
Cut & Assemble Historic Buildings at Greenfield Village
Cut & Assemble a Victorian Seaside Resort
Cut & Assemble the Old Sturbridge Village Meetinghouse
Cut & Assemble a Victorian Railroad Station
Cut & Assemble a Victorian "Painted Lady"
Cut & Assemble New England Farmhouse
Cut & Assemble Lincoln's Springfield Home



以前にもこのぺーパーキットにはハマったことがあり、カドー玩具時代「ミニチュアカー」誌に雑文を書いたことがあります。「Western Fronteer Town」の間にトミーの「ウエスタン・リバー・レイルロード」(つまり東京ディズニーランドの鉄道)のHOモデルを走らせて、「超簡易アメリカ型レイアウト」を作ったりしたものです。(東京ディズニーランドの開園間もない時分でした。)その頃に比べると随分と種類も増え、クォリティも上がっているように感じられます。

今回は1/64に拡大して作りましたが、いっそ半分に縮小して、「N」スケールにする、という遊び方もいいかもしれません。でも今度は機関車・貨車があってもクルマが無いですね…。



しかし「紙の建物」の最大の問題は、「窓が抜けておらず、絵として描かれていること」なのですね。これが結構実感をそこね、全体を「平面的」に見せてしまうのです。

それで今回は、「透明プラ板」に、1/64に拡大したカラーコピーを両面テープで貼り、窓枠だけを残してガラス面に当たる部の紙を切り取って剥がす、という方法を実験してみました。
多少の手間はかかりますが、簡単に「透明のガラス窓」を再現できるわけです。
壁面は「透明プラ板に紙1枚」では光が透けてしまうため、内部を暗色に塗ってあります。



加えて、窓のサッシ回り、柱、ひさし、などを別の厚紙やプラ板を積層して貼って厚みを持たせ、つとめて立体感を出すようにしてみました。つまり同じ壁面のコピーを2〜3枚とっておいて、厚紙をはさみながら重ね貼りしていくわけです。

「紙」というのは、決してモデリングの上では馬鹿に出来ない素材なのです。
昔から鉄道のモデラーは、客車〜電車系車輌の「ペーパーキット」を作りました。これはもともとは「プラ板」などというものが無かったからですし、何よりも窓を切り出すのに加工が容易だからです。サーフェサーで下地加工し、塗装してしまえば、まず「紙」とは思えません。
鉄道レイアウトの建物づくりなどにも「紙」は多様されて来ましたが、これにはプラスチックでは得られない「質感」が得られる、ということもあります。

47-2のコマー・アイスクリーム・キャンターは、アイスクリーム屋のオジサンが(イギリス式左側通行なので)車体左側を向いてしまっているのです。アイスクリーム屋のオジサンも他の人形とマッチさせるにはペイントしてしまいたいところですが、ミニカーとして温存したいので、我慢…。
基本設定は1950年代


ドラッグ・ストアにかかっている「ソーダ・ファウンテン」はもともとのペーパーキット付属の看板ですが、「コカ・コーラ」看板は別の本からコピーして付加したものです。
「コカ・コーラ」看板は、年代によって変遷していますが、ここでは全て「1950年代」のものを使っています。

やはり50年代の街並みには、マッチボックスでも50〜60年代の「レギュラーホイル」時代のモデルが良く似合います。
この場面で言えば、31-2のフォード・フェアレーン・ワゴンは1/75、37-3のコカ・コーラ・ローリーは1/89、27-3のキャディラック60スペシャルは1/80で、建物はドーバー・オリジナルの1/87・HOでも良かったことになります。今回は建物・人形ともに1/64を意識していますが、コカ・コーラ・ローリーはかなり小さいにもかかわらず、「情景」として見た時にはそれほど違和感はありません。情景模型では、物差しで測るようなスケール性よりも、やはり「空気」感が大事だということでしょうか。

遠景は、鉄道模型のレイアウトでよく使う手で、ただの「絵」、つまり「Cut and Assemble」の本のページを1/87原寸でコピーしたものをグレーの紙に貼り付けてあるだけです。
当初「LAPD」のディオラマで使用した「青空に雲」の背景でやってみたのですが、この街に「カリフォルニアの空」は全然に合わず、もっとニューヨーク風に「アトランティック」(大西洋的)な、グレーの空に落ち着きました。背景を白くし過ぎると、街に光が降り注いでしまうのですね。



この建物はキットでは「銀行」でしたが、コカ・コーラのルートトラックが登場することでもあり、「ボトリング・カンパニー」の社屋、という設定にしてみました。
筆記体のロゴタイプがネット上で入手できるかと思ったのに、既にアメリカでも多くの会社で使われておらず、アトランタのTC(コカ・コーラ本社)のロゴや、ボトラー建物の古い写真などがら合成するハメに…。
街全体を既成品のプラスチックケースに収めるようにするため、屋根周辺の表現を省略して建物の高さを詰めてあります。窓の手すりは、「トミカのまち」で日本の警察署に化けてしまったドイツの郵便局の建物の余りパーツを利用。

1950年代の「ニューヨークの横断歩道」はどんなものか、ということで、ひとしきり悩んでいたのですが、どうやら比較的狭い間隔で、白線が2本引いてあるだけのようです。
「街」がミニカーを遠くから呼び寄せる…


「新聞読みの紳士」「新聞売り・新聞運びの少年」のフィギュアが登場したことで、急に42-1の「ベドフォード・イブニング・ニュウズ・バン」が欲しくなり、イギリスから落札。
それで、この場面も突然イギリス式左側通行になってます。



パン屋のショーウインドも、透明プラ版の上に紙を貼り、一部をガラス部が抜けるように切り取ったもの。店頭のバスケット/パン/チーズなどはプライザーの1/87。

ドラッグ・ストア店頭の「サンタクロース」も、一応は50年代のものをチョイスしました。
コカ・コーラ壜もプライザーの1/87。1950年代の木製カートンは、赤でなく、黄色でいいのでしょうか。
自転車は、「トミカのまち」同様に1台だけ針金で自作。ただし今回は交番のお巡りさんのものではないので、白ではなく、シルバー。消化栓も自作。これ、昔は東京にもありました。
やはり街にはたくさんの「市民」がいないと寂しい


「トミカのまち」の最大の問題は、「住民がいない!!」ということだったのですが、「マッチボック
ス・タウン」には住民がたくさんいます。
彼らは、「レド」社の「デイズゴーン」シリーズの、ごく初期の製品にミニカーの「オマケ」として付けられていたものです。おおむね1/60〜1/64ぐらいのようです。人によってかなり「体格」に差がありますが。
中にはコカ・コーラの「馬車」に付属していたものもあり、「1950年代」という設定よりは古い感じですが、かといってプライザー1/72あたりの「現代人形」よりはずっと雰囲気があります。

「レド」社は、ご存知のように、一時期レズニーのエクゼクティブであったジャック・オデル(Lledo は Odell を逆に綴ったもの)が立ち上げた会社で、いわば「レズニー」とは親戚のような会社です。オデルは、本名ジョン・W・オデルで、鋳造と工作機械のエキスパートとして、レズニー社の創業期から参加していました。1983年に「レド」ブランドのモデルを世に出すことになりますが、この時点で既に「マッチボックス」ブランドは香港のユニバーサル・グループのものになっていました。
レドの「デイズゴーン」には、レズニーの初期モデルと同じモチーフのものがたくさんありますから、「雰囲気」が合うのは当然でしょうか。むしろこの人形たちは、マッチボックスのその後の「変質」を潔しとしなかった、イギリス的頑固さのシンボルなのかもしれません。
(オデルは、丁度ダイヤペットにおける川端さんのような人なのだと思います。)

もともとはアイボリー色成型の軟質プラ製で、色は私が塗ったものです。
この人形に塗装をした「物好き」は、さぁ、世界中に何人いるでしょう。



街灯は、タミヤ1/48MMの新製品「道標セット」中のもの。オーバースケールなのは承知ですが、基部をカットして使用すると気になりません。タミヤの「新製品」の恩恵にあずかったなんて、何年振りのことでしょうか。
タクシーキャブを並べる、ということではニューヨークがいいのですが、他のモデルも自由に並べることができるように、どこの街かを特定するような表現は一切しませんでした。



「商品が印刷されたショー・ウインドウ」と言えば、レズニーが1961年に発売した「HomeStore」(Accessory Packs, A-5A-1)を思い出します。
バリエーションは無く、チャーリー・マックのエンサイクロペディア(2002年・サード・エディショ
ン)で75-90ドルの評価。レギュラーホイル時代のマッチボックスで、子供の頃から持ち続けたモデルは皆無なのですが、何故かこの「ホームストア」だけが手元に残りました。

オーストリア在住で、トミカとSiku/マッチボックスのトレードをしているベルント氏は、レギュラ
ーホイル世代よりも若く、「スーパーファスト世代」なのだそうです。子供の頃に遊んでボロボロにしてしまったスーパーファストを、今も捨てられずに大切に持っているそうです。だから「マッチボックス」が好きなんだ、と言っていました。いい話だと思います。

そういう意味で「マッチボックスが好き」と言える子供たちは、もう日本にはいなくなってしまったことが寂しいです。



最近の「コレクティブル」製品の「コカ・コーラ」モノを並べてみました。
やっぱり古いレギュラー・ホイルの方がいいでしょうか??
今回の街は「箱入り」


実は今回は、街全体が既製品のプラケースにそのまま納まるように、最初から設計しました。大体のサイズは、ベースの長さ300mm×幅165mm×高さ130mm です。
「ディオラマ」というのは、何も考えずにやたらに作ると、壊れやすいは、ホコリはたかるわ、「いつかケースを作る」なんて言いつつ、絶対そんなものは作らないわで、結局は家人のヒンシュクを買うことになるからです。

透明プラ板のケースも作ったことはありますが、結局、耐震強度が不足するのですね。
それで既製品のケースを使いました。これなら、透明部分は一体成型なので、踏み潰しでもしない限り丈夫です。



トップへ
戻る
ホームへ
ディオラマ館トップへ