めざせポケモンマスター!
ぷくぷくプッキュン乙女回路全開ベギラマさんのプチエロポエミー奮闘記

「乙女失格」 作者:ベギラマ サンワコミックス(2003年8月発行)

男も女もポケモンも、アレもアソコも尻穴も、ぬれぬれもりもりぷっしゃしゃしゃー、モータイヘンモーマンタイモーヘンタイ。
この夏、ボクはポケモンと恋におちた・・・。

 

本書の作者は、連載開始時に22歳(終了時は24歳)、性関係の仕事に従事しています。本書は、その作者が自身の体験や見聞きしたことを元にその様子を面白おかしく描いて紹介するという、いわばエッセイ風のマンガです。
本来、ボクは女性のエッセイマンガといった類のものが大嫌いなのですが、これはもう稀にみる最大級の傑作で、例外的に紹介したくなり、このたびキーボードを取った次第です。
女性の、殊に独身女性のエッセイ風マンガなんてのは大体ロクでもなくって、大概は作者の自意識が鼻について鼻について、「あたしの感性ってユニークでしょ?共感してして!」とかいう無言の声がやたらとうざったく響きやがるモノばかりだと存じます。あとなんか知らんが、やたらと達観したがるというか、ハッキリ言って単に慈悲を無くしてるだけなんだけど、尊大なのと自立心とを取り違えてるんじゃねーか?と思えちまう輩にもしばしば出くわすのでございますね。ホホホ。
毒舌や悪態をつくことによる笑いってのは簡単ゆえに難しいもので、そうおいそれと使うべきものじゃなくって、「君らはお友達と絵文字なんか使いながらメールでもして楽しく遊んでなさいネ。」と、優しくお諭し召されるのが編集者として大人としての務めなんじゃないかと思ったり思わなかったり。ぶっちゃけ、どーだっていいとか。
そんなおり、本書の作者は、ものすごい知性の持ち主で、そんなありがちなエッセイ風マンガのレベルなどは軽くクリアーしてしまっています。
本書における作者は、読者の共感を得ようなんて邪心はハナッから捨てた上で、自らを貶め、他者を貶め、優れた言語感覚と多くの語彙と漫画表現を駆使して、自身の悲惨な出来事や修羅場まで、その全てを笑いに導きます。
すごい知性です。


「乙女失格」(三和出版 作者:ベギラマ)P.112より引用
絵は未整理で見辛いけど、自分が知ってるマンガ表現の引出し全て使って笑かそうとしてくれる姿勢は見事です。その意気や良しです。

尾崎風俗変のくだりは特に傑作で、是非とも尾崎豊を愛する全ての方に読んで頂きたいと思います。

そして、ボクは本書を読んで腹を抱えて笑いました。悶絶しました。
エッセイマンガとしても作者の感性を通じて良く考えさせてくれる良作ですが、これだけ笑かしてくれるマンガなど、ギャグマンガのジャンルでさえ極めて稀です。
これがノンフィクションってところが、これまた人の世の深さを感じさせてくれます。

さて、本書の内容についてですが、作者のベギラマさんはざっとこんなようなことをしてきました。

有刺鉄線を体に巻きつけて、ウナギを膣に入れられ、蛙の血をあびる。
公衆の面前で裸体のまま馬に引きずられる。
食紅を浣腸で入れられて、尻穴から鮮やかな青色の液を出す。
地方の裏風俗レポの為、実際にそこへ入店して客を取り、隠し撮りをする。

等々・・・。


「乙女失格」(三和出版 作者:ベギラマ)P.33より引用

嗚呼・・・引かないで!そうじゃない。そうじゃないんだ。
たしかにやってることは変態だ。それもがつく変態だ。乙女失格どころか、人として大失格だ。
だが、本書は決して見世物小屋を覗き見るような好奇心で読むものでも、異常者の特異な精神性を垣間見て楽しむようなものでもない。
いや、そういう面白さもあるけど、本書は作者の高い高い知性に基いた立派なエッセイでありネタであり、描かれた行為は全て笑い飛ばすべきものなんだ。

たしかに、本書には一般の方々が想像するような変態、つまりアッチ側の人も登場する。
そして、作者とその知人の性癖は間違いなくド変態で、常軌を逸している。
しかし、驚くべきことに作者の精神性はこの上なくコッチ側なのだ。
作者は変態ゆえにコッチ側とアッチ側についての考察が深い。逆説的だが、変態だからこそ一般人以上にコッチ側にいるといえる。行為と嗜好だけで、コッチ側とアッチ側を別つものではないことが、本書を読み進めるうちに分かってくる。
だからこそ、読者は作者が描く異常な性癖とその行為を笑い飛ばすことができる。
それはもう、ネタの変態度が強ければ強いほど、強烈な笑いのネタとなって襲ってくる。


「乙女失格」(三和出版 作者:ベギラマ)P.89より引用
ベギラマさんは自分の想像の範疇を超える変態に出会うと恋に落ちる技能を持つそうです。
内臓フェチという新種の変態(ポケモン)に、ベギラマさんはスキトキメキトス。

本書では、言葉の定義として、変態や異常生物をポケモンと位置付けて、自身をポケモンマスターに見立てています。この定義付けはめちゃくちゃ気に入ったので、今後自分も使わせていただきます。押忍!


「乙女失格」(三和出版 作者:ベギラマ)P.40より引用
ベギラマさんが待ちに待った仲良しのメル友との出会い。
それは性同一性障害ポケモンで、ミニスカノーパンのまま常時勃起している麻原彰晃にクリソツなオッサンであった。


本書を読んだ範囲で思ったことだけど、作者のベギラマさん(なんかつい、さん付けしてしまう。)の何も隠そうとしない姿勢は、自我を超えちゃってる気がする。自分が未だに抱えている過去のトラウマとか漠然と抱えた不安までサラッと、本当にサラッと書いちゃってる。
もしかしたらだけど、ベギラマさんはかつて深い深い闇の中で絶望の淵にいたことがあったのかもしれない。いや、だからどうしたってんじゃなくて、つまりはベギラマさんの今ある境地は、達観というより強烈な諦観の果てに得たのかなあ、なんて、今は誰よりも本音で生きてるんだから、そんなことはどーでもいいけどさ。
ともあれ、今では父上と母上とで月に一度のお食事会が出来るようになって、他人事ながら良かったと思います。さらには父上から乳首の色・形について事細かに詰問されて、陥没乳首の貴方はそれを真摯に答え、そして母上が爆笑するという仲にまで成ったというのは実に麗しい家族であると存じます。

ベギラマさんは今どうしてんだろう。
本書に書いあったところでは、キャットファイトの選手として活躍したり、イロモノビデオなんかに出演してるみたいだけど、今現在の詳しいところはわからない。
こないだ唐沢俊一の、「なぜわれわれは怪獣で官能を感じるのか」っていう本に寄稿してるのを見たくらいだ。
ベギラマさんは、漫画家か、あるいは小説家か、どんな形であれ、もっと大きく世に出てくれるとうれしいですね。
そして、いずれはそうなりそうな予感がなんとなくしてます。
ぜひ皆さんも、すでに完成の域にあるベギラマさんの処女作「乙女失格」をどうぞ読んでみてください。

まだネットで購入可能です。


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