taboo






「くーさーん!」

「へ・・・・?」



深夜番組のロケから局に戻った矢先、後ろから誰かに声をかけられた。
振り返ってみると、

「鈴木くん。」








鈴木くんとは“あにまるな”で私と同じくADをしている23歳の後輩くん。
美奈ちゃん同様、何故か私を好いてくれている。


というか、その懐いてる理由は、よーく分かってんだけどね。



しかも、

「・・・・・・・・・・」
その暗い表情見たら、もうどんな用件か分かるっての!
「くーさん!前の飲みの時、松井さん合コンだったんですか!?」




やっぱり。




鈴木くんは入社当初、番組で一緒になったなっちゃんに一目ぼれしたらしい。
で、なっちゃんと仲が良い私に、鈴木くんは頼ってる。
まぁ、鈴木くんって結構大人っぽいし、明るいから普通にアタックすればいいんだけど・・・






なっちゃんは、昔年下のカレにこっぴどく浮気された所為で、年下が大嫌い。

『もう一生、年下は恋愛対象外なの!!!』

と、いつか豪語してたっけ。







と、いう事で鈴木くんはかなーり不利なのだ。
だから鈴木くんは、職場の先輩であり、味方になってくれそうな私に頼りだした。


「で、あの・・・彼氏できたとか言ってませんでした!?」
とても必死な鈴木くん。
どうやら、今時珍しい一途なタイプらしい。人は見た目によらないなぁ。
「あー大丈夫だよ。なっちゃん『良い男いなかったー』って言ってたし。」

私は苦笑を浮かべながら言った。嘘じゃないし。



すると、鈴木くんはため息をつきながら、膝に手をついた。
「はぁー・・・・よかったぁ・・・」
どれだけなっちゃんの事が好きなのか。

いっそ、その気持ち全部ぶつけて、素直に告白すれば、なっちゃんも分かってくれると思うけどな。





「ねぇ鈴木くん。いっそ告白してみたら?なっちゃん、タイプは背が高くて大人っぽい人って言ってたよ?」

鈴木くんは年齢にしては、大人っぽいと思う。背だって175あるって言ってたし。
すると、鈴木くんはしゅんと表情を曇らせて、
「でも・・・俺、3歳も年下ですよ?」
「たった、3歳だよ。」
「その3歳がデカイんですって!」

随分ネガティブな事。
鈴木くんって、実は結構オクテだったんだ。
「そうだとしても!告白しなきゃ、付き合えないよ?」
「そーっすけどー・・・」
ますます怖気づく鈴木くん。




はぁ・・・仕方ない。






「鈴木くん!」
「は、はい?」

突然肩を掴まれ、驚いている鈴木くん。
「今週の金曜日、空いてる?」
「あ、空いてます、けど・・・」
鈴木くんは不安そうな顔のままこちらを向く。
「あのね。金曜日、私なっちゃんに晩一緒に食べようって誘われてんの。そこに私の代わりとして行け!」
「え・・・・えぇえ!?」



まぁ、実はオクテな鈴木くんなら、そんな反応するよね。




私は何か言いたげな鈴木くんを無視し続けた。

「なっちゃんには黙っとくから・・・で、その時に告白!ちゃんと、本気で好きだって言うんだよ!」
すると、さすがに焦ったのか、鈴木くんは頭をぶんぶん横に振った。
「で、でも!俺が行ったら不自然じゃ―――――」
「だから!なっちゃんには私が『急用が出来たから代わりの人、行かせる』って言えばいいじゃん。」
「そんな騙すやり方・・・」
「口答えなし!鈴木くん、なっちゃんの事好きなんでしょ?」
「う・・・・」

思わず黙り込む鈴木くん。



そうだ、ホントに好きなら、なっちゃんがそこらへんの男と付き合っちゃう前にゲットしなきゃ!







「・・・・・・・そう、ですよね。そうだ。俺、松井さんに告白します!」
「うんうん!それで良い。諦めちゃだめだよ?」
「は、はい!くーさん、ありがとうございました!」
「“ありがとう”は、成功した時に、でしょ?」
「あはは、そーっすね。」






そうだ、元々鈴木くんは明るいし気も使えるし、大人っぽい。

それに、なっちゃんを本気で好きなら、きっとなっちゃんも分かってくれる筈だ。


付き合ってから好きになるってのも悪くないって、なっちゃん言ってたし。






「じゃ、待ち合わせは金曜の夜8時で、店は・・・」






うーん燃えてきた。



可愛い後輩のために、ちゃんとセッティングしなきゃね。