taboo






あれから、とにかく大変だった。





とりあえず急いでドーベルマンを連れて行き、高原さんに渡すと、直ぐにスタジオを抜け出した。




そして、まず血が服に付かないように注意して。

編集部から持ち出した救急箱で、応急処置。

血でべとべとになったタオルは、とりあえず証拠隠滅。

美術班のゴミ箱に紛れ込ませた。これなら、赤いペンキと思われるだろう。

で、包帯でグルグル巻きになった腕を、Tシャツで隠して・・・



どう見ても、違和感は無い筈。







「お疲れ様でしたー!」
私はそしらぬ顔で言いながら、スタジオの片付けをしていた。


「くー!」

すると、浜村先輩が近寄ってきた。
こんな時に限って・・・
「なんですか?」
早く去れ、と思いながら先輩を見ていると、鈍感なのか馬鹿なのか・・・




「なぁ、これからメシ食いに行かね?どーせ暇だろ。」




いつも通りに先輩は他愛も無い話をしだす。


すると、こんな時に限って成実まで、
「あー!先輩!今日は私がるか誘うんです!」
「は?くー、今日四ノ宮と?」
もう・・・そりゃぁ証拠隠滅したけど、万が一あれがバレたら、面倒くさい。
大体、今日は仲崎さんとの契約の日だ。



「2人ともごめん、無理なんだ。今日は違う用事があってね。」
そう、だから2人とは・・・・






って、






忘れてた、今日は、この後仲崎さんと―――――――





『や、ば・・・』
まずい。仲崎さんに、バレる。


そして絶対聞かれる。包帯の事。
だって、収録前仲崎さんに会った時、私は包帯してなかった訳で・・・




断る、という案も頭を掠めたが、


『無理、だ・・・』



ドタキャンなんてしたら、次何されるか分かったもんじゃない。




『どう、しよ・・・』


久しぶりに、仲崎さんとの秘め事以外で頭が真っ白になった。





























足取りが、重い。

「・・・・・・・・・」
私は黙って、仲崎さんの後を付いて行った。


なんか、今日の仲崎さんはどこか不機嫌そうで。

ますます断れそうもない。



「仲、崎さ・・・・・・っ!」
寝室に入ると直ぐ、仲崎さんは、私の首筋に吸い付いた。
チクっとした痛み。
今日は、いつもより強めな気がした。

最近の仲崎さんって、前以上に強引になった。
だから、こうやって寝室入って直ぐなのも、慣れてしまった。
ただ、
『どうしよ・・・』
腕の傷をどうやって隠そうか考えている間にも、仲崎さんは服の中に手を差し込んでいて。


「んっ・・・・」
ブラの上から、敏感な頂をやわやわと押しつぶしてくる。
そして、そのままベッドに押し倒して、また、首筋に後を付ける。


この流れじゃ、確実にバレる。


『わー!どうしよー!』



パニくる私。






と、アイデアは突然浮かんできて。






『・・・・・そー、だ。』
私は恥ずかしさをぐっと堪え、仲崎さんに言った。
「あ、あの・・・」
「ん?」
短い返事。
えっち最中の仲崎さんって、いつもこうだ。
と、心の中で少し不満を漏らしつつ、私は言葉を進めた。


「今日は、その・・・服着たまま、しませんか?」


「・・・・・は?」

驚いた声の仲崎さん。
まぁ、そりゃぁそうだよね、私から提案なんて。






私が思いついた方法は『服を着たままえっちをする』ということ。
これなら腕を捲くらない限りバレない。
幸い、この服が汚れても、局から持ち帰った着替えがあるしね。


ただ、一つだけ嫌な事と言えば、



『なんか・・・』

変な、プレイみたい。



私はいたってノーマルで、健全で、そんな事心から望んでない。

只でさえ普通の嗜好なのに・・・さらに、そんな恥ずかしい事を仲崎さんに要求するなんて。



どーせ人を苛めるのが好きな仲崎さんは、喜んで私を苛め倒すだろーし・・・
でも、これだけ変態の仲崎さんなら、この変な要求も呑んでくれる筈。
『うー・・・!』
私は心の中で唸りながら、仲崎さんの返事を待った。

すると、


「何だ?今日はいやに乗り気じゃねぇか。」


乗った。

この人、まんまと乗ったよ。やっぱ、変態だ。


『よっしゃー!』
心の中で小さくガッツポーズする私。
すると、そんな事をしてる間にぐるっと体制を変えられ、仲崎さんを跨ぐような格好になった。
「今日はずっと、この体制。手、絶対動かすなよ。」
仲崎さんに促されるままに、シーツを手のひらでぐっと掴む。
「このまま、ですか?」
「そ。動かしたら、お仕置き。」
そう呟いたかと思うと、仲崎さんは再び、するっと服の中に手を忍び込ませてきた。
「ぁ・・・」
今度は下着越しではなく、じかに乳房を掴まれ、思わずシーツを握る手に力が入る。






と、その時。







「っ痛!」







ずきっと痛む、腕。



どうやら力が入ったことで、傷口を刺激してしまったらしい。






そしてその痛みに、私はおもわず声を上げてしまった。