taboo






真っ暗闇に意識が沈んでる。



手足が痺れて動けない。



でも、そんな中でも、誰かが側にいるような気がしてて。








『・・・・・か・・・』
名前を呼ばれてる?





そう思った矢先、突然頬へ何かの感触を感じて。
その触れた何かは、すーっと滑るように頬を撫で、唇へ触れた。

優しく、まるで悠樹に触れられてるみたい。




『悠樹・・・』


夢だって分かってるのに、ぽつっと呟いて。










でも、






何故か、それと同時に何かが離れていって。










『やだ、やだ、よ・・・』


頬も唇も熱い。
そして、何より離れていったことが、寂しい。







寂しい。





寂、しい?





















「・・・・・・・・・っ・・・・」
酷い頭痛と共に目の前へ広がったのは、よく見慣れた自室の天井で。
気だるい身体を起こし、私はしばらくぼうっとしていた。




『あぁ、そうだ。』

あの日、私は結局ロケ場所で気を失って。
恐らくそのまま、誰かに家まで運ばれたのだろう。
私の家を知ってるのはなっちゃんと先輩くらいだから・・・多分どっちかだ。
後で、お礼を言っておかなきゃ。




「って・・・」


私、何言ってんだろ。
何考えてんだろ。






成実の初めてのちゃんとしたロケで倒れるなんて。
多分、色んな人を心配させて、迷惑かけたんだろうな。
私はぼうっとする頭で色々考えながら、ふとケータイを開いた。




なっちゃんからの着信すごいな、あ、先輩からもある。


成実からは・・・10件、それとメール。


高原さんに、鈴木くん、美奈ちゃんまで・・・





みんなそれぞれ留守電に、私を心配する言葉が入ってる。
申し訳なく思いながら、どんどん下へボタンを押していった。












すると、








「・・・・・・・・え?」

着信履歴を見ていると、ふと、一番日付が古い所に、見慣れない名前が表示されていた。






“仲崎さん”






私が倒れてから、一番最初にかかってきてる。
確かに時間がそう示していた。

「なんで・・・」
そうだ――――なんで?
なんで仲崎さんが、誰よりも早く連絡を入れてるの?




よく見ると、隣に表示されてる留守電のアイコン。
私は混乱したままボタンを押し、ケータイを耳にあてた。





『―――――休養の連絡は入れといた。とりあえず、3日は仕事来るな。』




聞きなれた仲崎さんの声、そして、終わりを告げる保留音が鳴った。






「仲崎、さん・・・・・・」



・・・・相変わらず、無愛想な言葉だな。

“大丈夫”の一言も無く、ただ仕事に関する事だけ。

本当に、仲崎さんらしい。



そう、仲崎さん、だ。







無愛想で、怖くて、厳しくて、性格悪くて、優しい仲崎さん。




あの日以来おかしくなって、また、フリダシに戻ったと思ってたけど――――










いつも、私が悠樹の事でおかしくなりそうになってた時、側にいてくれたのは?
馬鹿みたいに、助けを求めて縋っていたのは?
自分勝手に、頼っていたのは?







全部全部、



「仲崎さん、だ・・・」




最初は、ただ成実の為だって思ってて。
正直、もう誰も好きになる気が無かったし、ただ抱かれるだけならいつか仲崎さんが飽きるだろと思って。
本当に軽い気持ちで。
でも、すごく重いココロで。



重くて重くて、本当に潰れちゃいそうだった。


でも、どんな方法でも、それを軽くしてくれたのは、仲崎さんだ。






なんで、
「気付かなかったんだ、ろ・・・」
仲崎さんの優しさも、意味も無くあんな事しないって事も。


なんでなんで――――――






















あの時と、一緒。




また、仲崎さんに会いたくなった。