
taboo
「・・・・ふぅ・・・・・・」
今日は火曜日。
ロケも無く、デスクワークばかりなので今日はラクな方なんだけど―――
「つ、疲れた・・・・」
雅臣さんって今年もう30歳なのに、なんであんなに元気なのか。
結局、一晩だけで満足しなかった雅臣さんは、次の日もほぼ1日私を抱き続けて。
というか、前はこんな事無かったのに。
「うーん・・・・」
最近・・・というか4月になって、次の日も抱くことが、多くなった。
―――――なんだろ。歳取ると性欲増すの?
「まぁ、でもなぁ・・・」
それによがってる私も私だし。
好きな人として、嫌なわけがない。
・・・・・・・・・・・・・・幸せ、なんだろうな。
まぁ私は若いんだし!
疲れだって、きっと雅臣さんなんかよりよっぽど軽いはずだ。
「午後も、頑張るかぁ。」
意味不明に納得し、私は昼ごはんを食べるためにエレベーターへ向かった。
すると。
「せーんぱい!」
聞きなれない声。
そして、なんの予兆もなく、背後から抱きつかれて。
成実ほど華奢では無く、なっちゃんよりも身長が高い。
それは、
「・・・・・誰・・・っていうか。」
こんな事出来るのは、今のところ一人しか浮かばない。
「長崎くん?」
そこには、可愛らしく人懐っこい笑顔があった。
「正解♪」
この長崎くん、とは。
最近他番組へ移動になった高原さんの代わりにきた、22歳、大学を卒業したばっかの新人くん。
その容姿は、とーっても可愛く、下手したら学生に間違われちゃいそう。
それでも身長は高く、やっぱり大人の男の人なんだなーと思う。
いや、そんな事はどうでもいい。
ただ、彼には一つ、問題があって。
「あのー長崎くん?」
「なんですかー?」
私は、首に回された手をそーっと持ち上げながら、
「離してくれる?」
この、超人懐っこい性格。
しかも、何故かその懐いてくる相手が私なわけで・・・
まぁ、長崎くん曰く、
『先輩ってなんかこう・・・抱きつきたくなっちゃうんですよー♪あ!姉ちゃんみたいな?』
らしい。
確かに、長崎くんは弟みたいで可愛いし、職場の後輩としてもいい子だなと思っている。
大学の頃、学業と同時に放送系の専門学校にも通っていたみたいで知識もあるし。
でも、いくら可愛いからと言って、こうもしょっちゅうスキンシップを取られたら困る。
だって私には。
「おい。」
声の方を振り返ると、そこにはその、愛しい人がいて。
「・・・あー、おはよーございます。仲崎さん」
私よりも先に気付いていた長崎くんが、すごい仏頂面の雅臣さんに挨拶をした。
ん?仏頂面?
「お、おはよーございます・・・」
「お前ら、邪魔。」
「すみません・・・・」
見ると、やっぱり酷い仏頂面で去っていく雅臣さん。
『な、なんか―――』
雅臣さん、怒ってる?
私は、何故雅臣さんが不機嫌なのか分からず、少し小首をかしげた。
すると、
「んー・・・仲崎さん、怒ってました?」
長崎くんも私同様、不思議そうに雅臣さんの背中を見てる。
「でも、まぁ仲崎チーフっていつもあんな顔だし・・・」
「いや、でも今日はなんか怒ってましたよー。」
しれっとした顔のまま言う長崎くん。
『へぇ・・・』
珍しいな。
雅臣さんっていつも仏頂面だから、たとえ怒っていたとしても気付かない人が殆ど。
なのに、入ってまだ1ヶ月くらいしか経ってない長崎くんが気付くなんて・・・
『この子、人を見る目あるのかな・・・』
まぁ、今日は私だって分かるくらい露骨だったしね。
「で、長崎くん。何?用あったんでしょ?」
とりあえず雅臣さんが怒ってた理由は今度聞くとして。
意味不明に抱き付いてきた長崎くんから離れつつ、聞いた。
「先輩、さっき収録終わったんですよね?」
「うん。」
「じゃ、これからご飯行きましょー♪」
「え?うん、いいけど――――――もしかして、その為にわざわざ私探しに来たの?」
「はい!」
「・・・・・・・」
なんというか。
「長崎くん、ホント元気だね・・・・」
「先輩と食べる為ですからー♪」
そう言いながら、輝くような可愛い笑顔を浮かべる長崎くん。
『ホント、この子は・・・・・』
変わったコだなぁ。
「・・・・・・・・・」
――――――まぁでも。
「・・・・じゃ、行こっか。」
「はい♪」
今まで、先輩とかなっちゃんとか高原さんとか、年上の人に囲まれる事が多かったからか。
『ふふふー♪』
ちょっと、こういうのも良いなぁと思ってしまった。
